睡眠時は肌のメンテナンスタイム、 しっかり眠って肌美人へ
睡眠の大切さは十分理解しているけれど、仕事や目先のことを優先して、寝るのはつい後回し、という人は多いのでは。肌の美しさを最大限に引き出すなら、毎日の睡眠を味方にしましょう。
しっかり眠った翌朝は、まさに、睡眠に勝るスキンケアなし!のご褒美肌を実感できます。
世は空前の睡眠ブーム。今どきの睡眠と美肌の関係を、快眠セラピストの三橋美穂さんに伺ってみました。
世界一、睡眠が短い日本人女性は美容も健康も危機的状態!?
OEDC(経済協力開発機構)の2021年のデータによると、日本人の平均睡眠時間は世界の全体平均より約1時間も短い7時間台。
さらに女性の睡眠は男性より短く、特に40〜50代の女性約半数の睡眠は6時間未満と圧倒的少ない。この世代の女性は晩婚化や晩産化に伴い、仕事に家事に育児、そして休む間もなく親の介護が始まり、気がつけば更年期。やることもライフイベントもミルフィーユ状態。
睡眠は単なる休息ではなく、身体のメンテナンスをするための時間と考えてください。睡眠負債は目に見えず、すぐには現れませんが、知らず知らずのうちに肌や健康、自律神経を乱し、メンタルにまで悪影響を及ぼしていきます。
最近、話題になっている“リベンジ夜更かし”もそのひとつです。日中の慌ただしさで得られない満足感を夜の自由な時間を使い、睡眠を削ってでも取り戻そうという現象です。
このループが悪循環を作ります。
これを断ち切るには、癒しは睡眠に求めて、遅くともその日のうちにベッドに入るようにしましょう。
仕事が途中でも切り上げて寝る勇気を持つことが大事。ぐっすり眠って翌日クリアな頭で向き合った方がパフォーマンスも上がり短時間で片付きます。
睡眠時間をきちんと確保し、睡眠負債が減っていくと肌も心も体調も好循環に。そして、これが自分をいたわり、大切にすることへとつながっていきます。
十分な睡眠で美しさはどう変わる?美肌のために7〜8時間の睡眠が必要なワケ。
睡眠が肌の最大のインナーケアと呼ばれるのは、眠っている間にエイジングケアに欠かせない成長ホルモンと睡眠ホルモン・メラトニンが分泌されるためです。
天然の美容液とも呼ばれる成長ホルモンは新しい細胞の生成に働きかけ、ダメージを受けた肌細胞を再生、肌の水分保持量を増やす働きもあります。このホルモンは入眠後約3時間に分泌され、眠りが深いほど分泌量が多くなります。
一方、睡眠ホルモン・メラトニンは質のいい睡眠をもたらし、成長ホルモンの分泌を促します。ビタミンCに負けない強い抗酸化作用を持ちエイジングケアにも有効です。
この2つのホルモンは分泌されるだけでは意味がなく、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら、体内に十分に巡らせることが大事。その目安が7〜8時間と言われています。
また、ある団体の調査で肌荒れがない人は、ある人よりも睡眠時間が31分長い、と報告されています*。長く眠るほど美肌への効果はテキメンと言えます。
*「年に一度の睡眠診断運動」参照
https://www.suimin-shindan.com/report01/
三橋 美穂
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
1万人以上の眠りの悩みを解決してきた睡眠のスペシャリスト。全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
https://sleepeace.com/